うにの皮剥いたろか
浜岡七十八郎
『ルルウルド・ルドロ』は葛城春之介の没後六十年後に葛城が当時住んでいた家屋庭の菖蒲の木の頂上に忽然と万国旗のように風に靡いているのを、隣のお屋敷の家政婦さんがたまたま見つけ、一度耳の穴に逆手品で収めた後に、脱糞USBメモリを脱糞。ピーシーに差し込んで、ピーシーが爆発し、煙の中から一冊の赤茶けた書物が誕生、それが『ルルウルド・ルドロ』と呼ばれている、魔術めいた書物だ。
物語は、架空都市北山七丁目。
蟹の爪に挟まれた、腕山賊の白雷。ジャズシンガーの碓田幸。ミスタードーナツのドーナツを食べるダグラス、耳の穴からこっちを見ているシラカバ。耳の穴からこっちを見ているシラカバ。の5人と2匹の奇妙な邂逅から始まり、坂を下るスコップ族の末裔穴の珍妙な舞踏会から7人と6匹の運命が神妙に交錯する。
物語の最後に穴の叫ぶ「◯◯◯◯ー!◯ー!!」、は近代文学に置ける金字塔と言われており、実際に金の字が飛び出すので驚いた。私はそれでおでこを擦り剥きました。
過去の葛城作品の主要登場猿の、バカ猿もおむすび配り役で登場。にぎりたてでございます。おひとついかが?わたしはバカでございます。葛城ファンには堪らないスイングもいつものように空振りでスリーアウト。スリーロールス、スリーロルス。
泥団子から生まれた謎の生き物、テレパシーを送るファンタオレンジのプルタブ、普通のうに。
ミスタードーナツと間違えてうにを剥くダグラスにびびびとプルタブのテレパシー、恋愛模様も晩秋の夕暮れの意味合い、計りかね、月は欠けていき、芋虫は食べられます。
あの人みたいな人、あの人、などなど個性的なキャラクターも出てきたり、出てこなかったりで山陽三階傘寿晩。冬の雪は冷たいものでございます。このへんは葛城の代表作、『お稲荷三三七拍子』とは別の道筋を提示しているのうにも思います。ウポ。ウポポ。
穴があったら入りたい。
穴があったら入りたいけど穴がない時はスコップで掘りたいと思わせる至極の一冊。読み終わったら寝ます。
それでは、みなさま、あぐらかいてつかれたらあしをほぐしておくんなまし。どうせ、立つか座るか寝るかの三択やで。
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